『シャボン玉』
その玉は、石鹸と水だけでできているとは思えないほど、美しく虹色に輝いていた。
「お父さ〜ん、みてみて〜シャボン玉いっぱいだよ〜」
小学校に上がったばかりの娘は、満面の笑みを私に向けてキャッキャッはしゃいでいる。
「ああ〜綺麗だな〜」
「うん、もっといっぱい吹いたあげるね〜」
娘は気をよくしたのか、ストローを石鹸水の入ったコップに一所懸命つけて、またシャボン玉を作り始める。
「ほらほらもっ〜と、いっぱいだよ〜」
娘のストローから解き放たれた数々のシャボン玉は、風に乗ってフワフワと空高く飛んでいった。
その一つ一つのシャボン玉を私と娘はゆっくりと眺めていた。
そして、娘は唐突に歌い出した。
「シャボン玉飛んだ〜♪屋根まで飛んだ〜♪屋根まで飛んで〜壊れて消えた〜♪」
その歌を聴いていたのかいないのか、シャボン玉は丁度民家の屋根当たりのところで、パンと弾けた。
まるで今までそこになかったように一瞬にしてそこからいなくなったのだ。
「お父さん?どうしたの?泣いてるの?」
娘が突然静かになった私の顔を覗き込んでくる。
私は娘の言葉に初めて涙を流していたことに気がついた。
「お父さん?大丈夫?どこか痛いの?」
娘は心配そうに私の顔を見ている。
「思い出しちゃったんだ、お父さん」
「え?」
「昔、シャボン玉が好きだった幼なじみがいた事・・・その子が良くその歌うたってたな〜って」
話し出したら、どんどんと涙があふれ始めた。
「お父さん大丈夫?」
娘は私の突然の様子に驚いてた。
「どうして、シャボン玉ってあんな綺麗なのに、壊れて消えちゃうんだろうな?」
そう言いながら私は娘を抱き寄せて頭を優しくなでた。
そして、娘も私の頭を優しくなで返してくれた。
『あとがき』
どうしてシャボン玉ってこんなに儚いんですかね?
この作品を作って、つい物思いに耽ってしまいましたよ・・・
この作品を読んだ妹から聞いた話なんですが、童謡の『シャボン玉』あるじゃないですか。
あの曲作った人、実は自分の子供を早くになくしてしまって、それからこの曲作ったらしいんですよ。
だから、あの曲ってどこか儚いんだなって思いました。
今回は何かしめぼったいあとがきになってしまいすみません。
せつない系の話はどうもあとがきが書きづらいです(涙)
最後まで読んでいただき、有り難うございました。
次回の作品で会いましょう〜♪
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